2025年07月30日 掲載
「全国在宅リハビリテーションを考える会」令和7年6月/東京&オンライン定例会 参加報告
日時 :2025 年 6 月 14 日(土) 定例会 13:00〜17:30
テーマ: 在宅リハビリテーションから政治を変える ~地域から描く新しい医療・介護の未来~
2025年6月14日(土)、「全国在宅リハビリテーションを考える会」定例会に参加いたしました。テーマは「在宅リハビリテーションから政治を変える~地域から描く新しい医療・介護の未来~」でした。本定例会は、在宅リハビリテーションの視点から政治や制度を見つめ直し、地域に根ざした新しい医療・介護のあり方を考えることを目的としています。テーマに沿って未来像や熱意、具体的な考えを共有することで、一人ひとりが「政治を身近に、地域を元気に。」という意識を持ち、地域課題の解決に向けて主体的に行動を起こすきっかけとなることを目指して開催されました。
プログラムでは、NPO法人全国在宅リハビリテーションを考える会理事長・安倍浩之氏による開会挨拶に始まり、衆議院議員・土屋品子氏、参議院議員・小川かつみ氏、公益社団法人日本理学療法士協会会長・斉藤秀之氏、一般社団法人日本作業療法士協会会長・山本伸一氏、一般社団法人日本言語聴覚士協会会長・内山量史氏より来賓挨拶がありました。
第1部の講演では、参議院議員・田中まさし氏が登壇され、国政におけるご活躍や最新の政策情報に加え、現場のリハビリ専門職に向けた力強いエールをいただきました。続いて、私(竹中佐江子)が「地域リハビリテーション実現に向けて-作業療法士が置かれている現状と課題、そして課題解決のために必要な活動とは?-」と題して講演いたしました。
講演では、報酬改定による単価引き下げや、自己研鑽が評価されにくいといった作業療法士の直面する課題に加え、医療的ケア児・重症心身障害児を対象とする放課後等デイサービスの報酬評価の不足、さらには養成校の定員割れなど、事業者や教育機関が抱える問題についても言及しました。
これらの課題解決には、作業療法士の職域拡大が不可欠であり、作業療法士は医療機関のみならず、介護・障害福祉・児童福祉・保健・教育・労働・司法など多様な領域で活動しています。今後は直接支援に加え、教育・就労・産業・保健領域における間接支援の強化、多職種協働、および地域・組織マネジメント能力の向上が求められるという考えを述べました。
また、日本の社会保障制度や高齢者人口の将来推計、訪問リハ制度の変遷、介護業界の再編などの現状を踏まえ、作業療法士が直面する課題の解決には、政治への働きかけが不可欠であることを強調しました。これまでは社会保障制度に守られてきた私たち作業療法士が、今後は現場の声や地域ニーズを国に届け、法制度の整備を通じて国の施策に位置づけられることにより、実践の場が広がることを訴えました。また、理解者や代弁者となる議員を増やし、政策への反映を目指した活動の重要性についても言及しました。
最後に、多くの作業療法士が目の前の対象者の支援からキャリアを始める一方で、その経験を通じて地域・業界・社会課題と向き合うようになったこと、そしてその課題解決の一手段として政治の重要性を感じたという、自身の経験を基にしたメッセージをお伝えしました。
第2部の講演では、公益社団法人日本理学療法士協会会長・斉藤秀之氏、一般社団法人日本作業療法士協会会長・山本伸一氏、一般社団法人日本言語聴覚士協会会長・内山量史氏が、それぞれの専門領域における実例を交えながら、政治の必要性についてご説明くださいました。
参加者の多くは、在宅リハビリテーションをはじめとする介護・福祉事業や、保険外のリハビリサービスを展開されている経営者の方々であり、私たちが直面する危機的状況を日々実感されている方ばかりでした。だからこそ、政治の必要性を強く認識されていたのだと思います。
今後も現場の声を国に届け、政策へと反映させていく政治活動を推進することで、作業療法士の社会的地位の向上と、持続可能な医療・介護の未来づくりに貢献していきたいと実感する研修会となりました。
日本作業療法士連盟
副会長 竹中佐江子